【11月28日 AFP】国連環境計画(UNEP)は27日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」で定められた目標達成に向けた進捗に関する年次報告書を発表し、現状の温室効果ガス排出量と目標達成に必要な水準との間の差は広がり続けており、人類は気候変動対策でますます遅れをとっていると警告した。

 これまでの気温上昇幅はわずか1度だが、世界各地では大規模な森林火災や熱波、ハリケーンが増加の一途をたどっている。このままのペースで行けば気温上昇幅は今世紀末までにおよそ4度に達するとの予測もあり、科学者らは文明の基盤を揺るがす事態になると警鐘を鳴らしている。

 今年で9回目の公表となる「排出ギャップ報告書(Emissions Gap Report)」によると、産業革命以前からの気温上昇幅を2度に抑えるためには、2015年のパリ協定で定められた炭素削減量を2030年までに全体で3倍に、1.5度の上昇幅を目指すなら5倍に増やす必要がある。

 同報告書は、国家レベルでの取り組みが最も不足していると指摘。UNEPの同報告書担当者、フィリップ・ドロスト(Philip Drost)氏はAFPに対し、「各政府は、自国が決定する貢献(NDC)を見直し、目標を引き上げる必要がある」と語った。(c)AFP