【11月26日 AFP】「女性に対する暴力撤廃の国際デー(International Day for the Elimination of Violence against Women)」の25日、国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、世界で昨年に殺害された女性の半数以上が自分のパートナーや家族による犯行の被害者だったとする報告書を発表した。女性にとっては「家庭」が最も危険な場所になっていると警鐘を鳴らし、警察と福祉サービスなどとの連携も含めて対策を強化するよう各国に呼び掛けている。

 UNODCのまとめによると、2017年に世界で女性が被害者となった殺人事件計8万7000件のうち、約5万件(58%)が、夫や恋人など親密な関係にあるパートナーか家族による犯行だった。うち約3万件(34%)は親密なパートナーのみによる犯行だった。

 UNODCは「1時間に約6人の女性が、自分の知っている人物に殺害されている計算になる」と指摘している。

 世界の殺人事件全体では被害者の約80%は男性。それでもUNODCのユーリ・フェドートフ(Yury Fedotov)事務局長は「女性は依然として男女の不平等や女性差別、否定的な固定観念の最も大きな犠牲を払っている」「親密なパートナーや家族から殺されることが最も多いのは女性だ。女性たちにとっては家庭が最も危険な場所になっている」と強調する。

 地域別にみると、女性が親密な関係にあるパートナーか家族に殺害される危険性が最も高いのはアフリカと米大陸。逆に最も安全なのは欧州となっている。

 UNODCは女性に対する暴力への対処では近年「具体的な進展が見られない」と指摘。「効果的な犯罪防止と刑事司法対応」が必要だとし、警察、司法制度、保健・福祉サービス間の連携を強化するよう訴えた。(c)AFP