【11月25日 時事通信社】30日に開幕する20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席はアルゼンチンのブエノスアイレスで会談を予定している。米中貿易摩擦が激化して以降、両首脳が直接会うのは初めて。貿易や安全保障にまたがる米中対立は「新冷戦」とも呼ばれ、世界経済に影を落とす。会談で「一時休戦」に持ち込めるかが焦点だ。

 「私は習氏が大好きだし、彼も私のことを好きだと思う」。トランプ氏は22日、滞在先のフロリダ州の別荘で習氏との関係を記者団に誇示した後、こう付け加えた。「恐らく以前ほどは好いてくれていないだろうが」

 昨年11月、北京を訪れたトランプ氏を習氏は「故宮(紫禁城)」で歓待し、両首脳の友好ムード演出に懸命だった。ところが米政権はその翌月、中国を米主導の国際秩序に挑戦する「修正主義勢力」と位置付け、対決姿勢を鮮明に。ペンス米副大統領はこのところ南シナ海、台湾問題、人権状況などをめぐり厳しい対中批判を展開し、中国側の猛反発を呼んでいる。

 目下の課題は、米国がちらつかせる知的財産権侵害を理由とした第4弾の対中制裁関税の扱い。過去3回の制裁対象は中国からの年間輸入実績の半分の2500億ドル(約28兆円)相当に達しており、第4弾の2670億ドルを加えると中国からの全輸入品が対象となる。

 習氏はトランプ氏との1日の電話会談で、「貿易問題で双方が受け入れられる案をまとめなくてはならない」と強調した。中国外務省報道官によると「両首脳の電話以降、経済・貿易分野のハイレベルな接触が回復した」といい、首脳会談に向けて調整が進む。

 中国は、今回の首脳会談を機に米中貿易協議を再開させた上で、米国製品の輸入拡大など譲歩案を引き続き提示し、貿易戦争の一時休戦にこぎ着ける狙いとみられる。トランプ氏は、中国が歩み寄れば第4弾は「必要ないかもしれない」と言及。「中国はディール(取引)を望んでいる。取引できるならやる」と事態打開の可能性を示している。

 しかし中国側は、こうした発言に信頼を置けずにいる。米国は5月の貿易協議で対中制裁関税を保留することで合意しながら、ほごにした経緯がある。王受文商務次官は23日、解決には「互いを尊重し、約束を守る基盤」が必要だと指摘した。中国はむしろ貿易戦争の長期化に備え、次々に景気対策を打っている。(c)時事通信社