【11月26日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は23日、かつての植民地であるアフリカ西部ベナンの文化遺産26点を同国に「一刻も早く」返還することに同意した。他の旧宗主国に対しても、アフリカの文化遺産の返還を求める圧力が強まりそうだ。

 仏国内の博物館が所蔵するアフリカの文化遺産の祖国返還に関する委託調査報告を受け取ったマクロン氏は、今回の決定は、特例や象徴的な事例として捉えられるべきではないと語った。

 マクロン氏が返還に同意した26点は、仏軍が現在のベナンにあったダホメ(Dahomey)王国と戦争中だった1892年に、アボメイ(Abomey)王宮群から奪った王族の像が中心。像は現在、パリ市内のケブランリ美術館(Quai Branly Museum)が所蔵している。

 マクロン氏はまた、アフリカ文化遺産を軸とした「交流策」の枠組みをつくるために来年パリで、アフリカと欧州の関係各国の会合を開くことを提案した。

 仏大統領府によると、マクロン氏は「返還に加えて、こうした文化遺産の展示や貸し出し、さらなる文化協力まで、あらゆる可能な流れが検討されることを期待している」と述べたという。

 ベナンの文化施設「アーティスティック・アフリカ(Artisttik Africa)」のウスマン・アレジ(Ousmane Aledji)所長は、フランスとの「文化交流の新たな形」を歓迎する姿勢を表明した。

 英国もギリシャへのエルギン大理石(Elgin Marbles)の返還や、ナイジェリアへのベニン王国の青銅細工(Benin Bronzes)返還を求める声に直面している。また、ベルギーやオーストリアの博物館は、何万点ものアフリカの文化遺産を所蔵している。