【11月24日 AFP】米政府は23日、気候変動に関する報告書「第4次全米気候評価 第2巻(Fourth National Climate Assessment Volume II)」を発表し、気候変動はすでに世界経済に損害を与えており、米国は炭素排出量を削減するための抜本的な行動を取らなければ、今世紀末まで年間数千億ドル(数十兆円)の損失を被ると警鐘を鳴らした。

 報告書は、「炭素排出量は歴史的な高い水準で増加し続けており、一部の経済部門の年間損失は今世紀末までに、米国の多くの州の現在の国内総生産(GDP)を上回る数千億ドルに達する見込みだ」と指摘している。

 また「大幅かつ持続的な世界規模の排出削減と地域的な適応努力がなされなければ、気候変動が米国のインフラと財産に与える損害は拡大し、今世紀中の経済成長の妨げとなる見通しだ」とした。

 影響は世界貿易に波及し、輸出入価格や、国外に事業やサプライチェーンを持つ米企業も影響を受けるという。

 影響の一部はすでに米国で表れており、昨今の異常気象と気候に関する事象は「人類がもたらした地球温暖化によるものとますます強く確信」できるとしている。

 この報告書は法律で米政府に作成が義務づけられているもので、300人以上の科学者が1000ページ以上にまとめた。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、昨年出た報告書の内容を否定している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN