【11月23日 AFP】ロシア国防省は22日、軍参謀本部情報総局(GRU)のイーゴリ・コロボフ(Igor Korobov)長官(62)が「長い重病」の末、21日に死去したと発表した。ロシア政府は同氏を「偉大な男」で愛国者だったとたたえた。

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 コロボフ氏は2016年、前任者のイーゴリ・セルグン(Igor Sergun)氏の急死に伴い、GRU長官に就任した。セルグン前長官の死をめぐっては、レバノンで作戦中に殺害されたとの報道が複数あった。

 GRUは、連邦保安局(FSB)、対外情報局(SVR)と共にロシアを代表する情報機関。コロボフ氏の長官就任後、国外でロシアの関与が指摘される数々の作戦を展開し、ロシア政府による欧米介入の代名詞となった。コロボフ氏は米国の制裁対象となっていた。

 欧米諸国はGRUがロシア国外で複数の攻撃を行っていると非難しており、英南部で3月にロシア人元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘のユリア(Yulia Skripal)さんが神経剤で襲われた事件でも暗躍したとみている。また、米政府は2016年米大統領選へのロシア介入疑惑で、GRUが直接関与したと主張している。

 ロシア国防省がコロボフ氏の死去を発表する際に使用した「長い重病」は、アナリストによると、がんの隠語だという。

 ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が哀悼の意を表し、2人でよく会話したものだとコロボフ氏をしのんだと述べた。

 国営タス通信(TASS)が伝えた軍情報筋によると、長官代行にはイーゴリ・コスチュコフ(Igor Kostyukov)GRU第1副長官(57)が任命され、そのまま後任長官に就任する見通し。(c)AFP