【11月22日 AFP】日産自動車(Nissan Motor)の会長カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)容疑者(64)が報酬の過少記載容疑で逮捕された事件は、ゴーン容疑者が最高経営責任者(CEO)を務める仏ルノー(Renault)との提携関係も揺さぶっている。逮捕の背景には両社間の確執があったとも伝えられるが、20年に及ぶ関係の中で部品の共通化など連携を深めているだけに、専門家の間では解消は至難なばかりか莫大な経費もかかるという見方が多い。

 ルノーの幹部だったゴーン容疑者は、日産との提携の準備に取りかかった際、経営危機に陥っていた日本の老舗自動車メーカーの救済について、日本人の反感を招かないように「合併」という言葉を使うのを慎重に避けた。

 それでも専門家らは、ゴーン容疑者は実質的に、世界最大規模の自動車連合をつくり上げたと指摘する。そして、日産とルノーが提携を解消することになれば、すべての関係者にとって損失になると警鐘を鳴らす。

 ドイツ銀行(Deutsche Bank)のアナリスト、ゲタン・トゥールモンド(Gaetan Toulemonde)氏は、両社の提携解消について「20年連れ添った夫婦が離婚するようなものだ。複雑で多額の費用がかかるうえ、容易にはいかない」と指摘。「正直なところ、そもそも可能なのかどうかすら分からない」と言う。

 ルノーと日産は、生産と部品調達の統合や経営合理化を業界で前例のないレベルまで進めて躍進。2016年には三菱自動車(Mitsubishi Motors)を加えた3社連合となり、昨年の3社合計の販売実績は1060万台超と世界一を達成した。