【11月26日 東方新報】中国・広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)にある華南農業大学(South China Agricultural University)でこのほど、遺伝子組み換え技術により、高い抗酸化作用を持つ赤色の色素「アスタキサンチン(Astaxanthin)」を豊富に含む「蝦紅米(訳:エビのように赤い稲)」と呼ばれる新種の稲を開発した。この成果は、学術雑誌「分子植物(Molecular Plant)」に発表されたという。

 学術雑誌「分子植物」は2008年に創刊した植物学の専門雑誌で、分子植物上海編集部と英オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)の共同出版によるものだ。現在、米国SCI(Science Citation Index)、米国Medline、米国CA(Chemical Abstracts)など約10のデータベースに収録されている。2017年の「分子植物」のSCIでの影響度指標(Impact Factor)は9.326で、世界の植物科学分野の研究類刊行物の中で2位となっている。

 遺伝子組み換えとは、現代の生物技術を用い、ある生物の良質な遺伝子を人工的に分離し、別の種の生物体の遺伝子の中に入れることにより、生物の元来の性状を改善する、あるいは新しい良質の性状を付与することを指す。

 カロテノイド(Carotenoid)は抗酸化特性を持つ重要な植物栄養素の一つで、広範に食品や飼料の中に栄養補助剤として使われている。アスタキサンチンは一種の赤い色をした色素で、高い抗酸化作用を持ち、人体の健康に有益だ。ただ、大多数の高等植物の中では生成されないという。

 研究の結果、少なくとも4種の遺伝子の組み換えにより、水稲の胚乳の中でアスタキサンチンを生物合成することが分かり、植物合成生物学と作物生物強化の範例となった。生物合成により強化された稲は、健康を促進できる食品として消費可能で、食事の補助剤として生産加工できるという。

 論文には、改良後のゴールデンライスは、トウモロコシのPSY遺伝子と軟腐病菌から来たctrl遺伝子を導入することで、有効的にベータカロチンを発生させ、蝦紅米の開発にヒントを与えた、としている。

 ゴールデンライスは一種の遺伝子組み換え米だ。遺伝子組み換えにより、カロチンを稲の胚乳に導入すると外側が黄金色の稲になる。カロテノイドとビタミンAが豊富に含まれる。

 約100人のノーベル賞受賞者は共同で2016年6月、自然保護団体のグリーンピース(Greenpeace)と世界各国首脳に公開書簡を出し、グリーンピースとその支持者たちが遺伝子組み換えに賛同することと、遺伝子組み換え反対の行動をやめることを求めた。特にゴールデンライスの行動への支持を求めている。2018年11月時点で、138人のノーベル賞受賞者らがこの書簡にサインをしているという。(c)東方新報/AFPBB News