【11月20日 AFP】中国が今年になってからオーストラリア企業の知的財産を狙ったサイバー攻撃を急速に増加させていると、豪フェアファックス・メディア(Fairfax Media)と豪テレビ局チャンネル・ナイン(Channel Nine)が20日に公表した調査報告書で指摘した。

 知的財産の盗難をめぐっては数日前、マイク・ペンス(Mike Pence)米副大統領がパプアニューギニアで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の関連行事で、「知的財産の窃盗」を拡大させていると中国政府を非難したばかりだが、フェアファックスらの調査報告によると、オーストラリアと米国、英国、カナダ、ニュージーランドの5か国が加盟する秘密情報共有機構「ファイブアイズ(Five Eyes)」が、国際サイバースパイ活動「クラウドホッパー作戦(Operation Cloud Hopper)」を指揮しているのが中国国家安全省であることを突き止めたという。

 フェアファックス・メディアの取材に対し、ある豪政府高官は、中国は知的財産を盗むことを目的に「継続的かつ著しく精力的」にサイバースパイ活動を行っていると述べた。他の豪政府関係当局者らは、企業や大学のセキュリティー強化は十分でないといら立ちを示している。

 サイバー・セキュリティーの専門家らも同様の見方をしている。米セキュリティー企業クラウドストライク(CrowdStrike)のマイク・セントナス(Mike Sentonas)副社長は「今年前半の6か月間にサイバー攻撃が急激に増えていることに気付いた。攻撃は主に中国からで、全ての業界を標的としていた」と、フェアファックスに述べている。

 オーストラリアと中国は昨年、知的財産や商業上の秘密を狙ったサイバー窃盗を指揮することも支援することもしないとの合意を交わしているが、この合意を無視して攻撃が行われているとみられる。

 現在のところ、豪政府からは20日の調査報告書に関するコメントは出されていない。

 オーストラリアでは昨年、防衛委託業者のコンピューターがハッキングされ空軍のステルス戦闘機「F35」や対潜哨戒機P8(ポセイドン)に関する機密情報が盗まれたが、この時のハッキングツールは中国のサイバー犯罪者らに使用されているものだった。(c)AFP