【11月20日 AFP】先日のF3マカオGP(2018 Macau Grand Prix)決勝で壮絶なクラッシュを経験した17歳のドライバーが20日、まひが残る恐れもあった長時間に及ぶ「恐ろしい」脊椎手術を乗り越え、順調に回復していることが分かった。

 18日に行われたレースで、ファン・アメルスフォールト・レーシング(Van Amersfoort Racing)のマシンを駆っていたソフィア・フローシュ(Sophia Floersch)は、高速ストレートの先で縁石に乗り上げながらトムス(TOM's Racing)の坪井翔(Sho Tsuboi)と接触し、安全バリアーを飛び越えて後ろ向きにマーシャルとカメラマンがいる場所に突っ込んだ。

 この事故で、フローシュは脊椎骨折を治療するために自身の腰骨移植を余儀なくされた。手術は当初4~5時間の予定だったが、骨移植と神経学的観察が必要となり、手術室で7時間を過ごした。

 医師は報道陣に対して、フローシュが手足を自由に動かすことができる一方で、1~2週間は入院の必要があると説明。坪井は他のカメラマンと共に退院したが、肝臓を損傷した別のカメラマンと、顎を骨折したマーシャルは経過観察が必要だという。

 チーム代表のフリット・ファン・アメルスフォールト(Frits Van Amersfoort)氏は、モータースポーツ専門サイトのMotorsport.comに対して、手術後に笑顔を見せているフローシュの写真を受け取ったことを明かし、「危険な手術だと分かっていたので、その間は恐ろしかった。しばらく入院の必要はあるが、レーシングカーという彼女の居場所で、またすぐに会えることを祈ろうじゃないか」と述べた。

 同氏はまた、チームがフローシュの状態を確認しようとしても情報がつかめず、事故直後にパニックに陥っていたとして、「何も分からなかったあの20分間は最悪だった。あの時のことは生涯忘れないだろう」とすると、「(彼女の)肩には天使がいた。さもなければ、もっと最悪の事態になっていたかもしれない」と付け加えた。(c)AFP