【11月20日 AFP】フランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)が、若手選手のリクルートに関して人種に基づく選別を行って差別禁止法に違反したとする疑惑で、同国検察が捜査を開始した。

 フランス王者のPSGによる疑惑は、同国のニュースサイト「メディアパルト(Mediapart)」の報道で初めて明らかになった。クラブはすでに内部調査を行い、「人種差別を示す証拠は何もなかった」と結論づけていた。

 サッカーに関する内部告発サイト「フットボール・リークス(Football Leaks)」が公表した書類を引用したメディアパルトによると、PSGのスカウト部は2013年から今年春までの間、若手選手に関する評価リストで民族性に関する情報を含めた各項目を埋めていたとされている。人種の項目はフランス人、北米人、中米人、アフリカ人などと記載され、こうした選別はフランスでは違法となっている。

 ロクサナ・マラシネアヌ(Roxana Maracineanu)スポーツ相が、この問題行為を激しく非難して報道内容に「衝撃」を受けたと述べたほか、人権団体の非政府組織(NGO)「人権連盟(LDH)」は、人種差別と人種プロファイリングを理由に訴訟を起こした。

 メディアコンソーシアムの「ヨーロピアン・インベスティゲーティブ・コラボレーションズ(EIC)」に加盟するメディアパルトが、2014年3月に「内部で告発」されたものとして公表した今回の疑惑は、13歳の有望株だったヤン・グボホ(Yann Gboho)に関係したものとされている。

 グボホは当時、フランス北部のノルマンディー(Normandy)地域を拠点とするルーアン(FC Rouen)でプレーし、スカウトの目に留まった。しかし、才能と将来性があったにもかかわらず、同選手は評価リストで人種の項目に「中米人」と記載され、存在を見過ごされてしまった。

 現在はフランスのユース代表として活躍し、実際にはコートジボワール出身で中米人ではないグボホは、のちにレンヌ(Stade Rennes FC)と契約を結んだ。

 PSGは、人種プロファイリング疑惑に関する内部調査で評価リストに人種情報の項目が入っていたのは、パリ外のスカウティングを担当している責任者の「個人の主導」によるものだったと説明。報告書では「文書は存在していたが、若手選手のスカウティングや評価、リクルートの段階で差別はなかった」と結論づけている。(c)AFP