【11月20日 AFP】アフガニスタンは今年、アヘンの原料となるケシの栽培が深刻な干ばつ被害を受けたうえ、供給過剰でアヘン価格も下落したことから、ケシの栽培面積が大幅に縮小したことが分かった。国連薬物犯罪事務所(UNODC)が19日公表した年次報告書「Afghanistan Opium Survey(アフガニスタンのアヘン調査)」で明らかにした。

 豊作だった2017年とは対照的に、今年のアヘン用ケシの生産額は前年比56%減の約6億ドル(約680億円)に落ち込んだ。もっとも、縮小したとはいえ今年の栽培面積は推定26万3000ヘクタールで、アヘン用ケシ栽培の体系的な監視が始まった1994年以降で2番目に高い水準にある。

 アヘン生産量は、昨年は前年比87%増を記録したが、今年はケシ栽培面積が20%減少した影響で前年比29%減の6400トンになるとみられる。

 アヘン生産はアフガンの旧支配勢力タリバン(Taliban)の主な収入源となっており、ケシ栽培面積の約70%はタリバンが支配するアフガニスタン南部に集中している。タリバンは長年、支配地域のケシ農家や麻薬密売人から徴税してきたが、最近は自ら工場を運営し、採取したケシの乳液を精製して輸出用のモルヒネやヘロインも生産している。

 報告書は、アヘンの供給過剰で価格が下落したものの他に換金作物がないため、アフガニスタンの多くの農家はアヘン用ケシの栽培をやめられずにいると指摘している。(c)AFP