【11月19日 AFP】台湾代表が2020年東京五輪に「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」ではなく「台湾」の名で出場することの是非を問う住民投票が24日に行われるのを前に、国際オリンピック委員会(IOC)が五輪出場権を失う恐れがあるとの警告文を台湾当局に送っていたことが分かった。

 中国大陸と台湾は一つの国に属するという「一つの中国」政策を推し進める中国政府の影響から、台湾は五輪をはじめとするスポーツの国際大会に中華台北の名で出場することを強いられている。

 IOCは16日、中華台北五輪委員会(Chinese Taipei Olympic CommitteeCTOC)と台湾政府に書簡を送り、五輪委員会の活動が規則や政府により妨害された場合、IOCは五輪委員会の資格を停止する権利があるとする五輪憲章の規定を指摘。CTOCも、住民投票を強行すれば資格を失う可能性があると懸念を示していた。

 IOCは「現地の手続きに干渉せず、表現の自由を尊重する」とする一方、五輪憲章の順守を求めるとともに、CTOCに対して外的な干渉があった場合には「保護的な措置」を取り得るとの姿勢を示唆。さらに台湾における五輪の理念が「CTOCの代表団や選手たちを妨害しないよう、政治的配慮より優先されることを望んでいる」と強調した。

 中華台北という名称は1981年に合意に至ったものの、その後、台湾は台湾であるとの意識の高まりから名称変更を求める運動が拡大。台湾政策を担う中国の国務院台湾事務弁公室(Taiwan Affairs Office)は、台湾が国際大会への選手の出場権をないがしろにしていると批判している。(c)AFP