【11月17日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は16日、中国には貿易摩擦の緩和に向けて取引する用意があるとし、同国に対する輸入関税の拡大は「いらない可能性もある」と述べた。

 トランプ政権はこれまで、中国からの輸入品2500億ドル(約28兆円)相当に高率の関税を課した上、さらに2670億ドル(約30兆円)相当への課税拡大を警告している。拡大が実行されれば、世界第2位の経済大国である中国からの輸入品すべてが対象となる。

 トランプ氏は記者団に「中国は取引を望んでいる」と述べ、中国側が「実行する意思のある事項のリストを送ってきた」と説明。中国側の申し入れはまだ受け入れ可能なものではないが、「互恵的な」貿易に向けた合意の実現を楽観しているとし、「取引は成立すると思う。今に分かる」との見通しを示した。

 さらに同氏は、中国側のリストには142項目が含まれるとし、「われわれが要求したものも多い。一部は除外された。それもおそらく獲得できる」と述べた。

 ウィルバー・ロス(Wilbur Ross)米商務長官はこの数時間前、中国との合意は年内には「不可能だ」と表明しており、トランプ氏の発言はこれと矛盾するようにみえる。

 トランプ氏は、今月末からアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせ、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席との会談を予定している。

 ブルームバーグ(Bloomberg)によれば、ロス長官はこの会談について、紛争解決の枠組みとなるものであり、「1月までに完全な合意が達成されないことは明確だ。あり得ない」との見方を示した。

 1月には中国からの年間2000億ドル(約23億円)相当の輸入品に対する関税率が10%から25%に引き上げられる予定で、重要な節目となる。(c)AFP