【11月16日 AFP】女性が標的とされ殺害される事件「フェミサイド」の発生率はエルサルバドルが中南米で最も高く、2017年には少なくとも1万人に1人の女性が被害に遭ったとする国連(UN)の報告書が15日、発表された。

 国連経済社会理事会ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)によると、中南米では昨年1年間に少なくとも2795人の女性(15歳以上)が「女性だから」という理由で殺害された。

 エルサルバドルでは、女性10万人当たりの殺人発生件数は10件以上に上った。一方、被害者数が最も多かったのはブラジルで、1133件だった。

 ホンジュラス、グアテマラ、ドミニカ共和国、ボリビアでも、女性10万人当たりの殺人発生件数は2件超と高く、中南米で10万人当たり1件を下回ったのはパナマ、ペルー、ベネズエラのみだった。

 ブラジルやエルサルバドルを含む中南米18か国は法改正によって「フェミサイド」を罪名に追加したが、状況は改善していない。

 ECLACのアリシア・バルセナ(Alicia Barcena)事務局長は、「フェミサイドは女性に対する暴力が最も極端に表れたものだ」と指摘。女性を標的とした犯罪は通常、経済状況や年齢、人種、文化などの要素が絡み合っているとして、「女性の多様化と、女性に対する暴力のさまざまな形」を考慮するよう各国に呼び掛けた。(c)AFP