【11月15日 AFP】インターネット通販最大手の米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)が第2本社をニューヨークと首都ワシントン郊外の2か所に分割して建設すると発表したことを受け、ニューヨーク市クイーンズ(Queens)地区で14日、100人近くの人が同社の本社建設に抗議するデモを行った。ニューヨーク市当局者によると、同社の誘致をめぐっては市側が30億ドル(約3400億円)近い税制優遇措置を持ち掛けたといい、デモ参加者たちからは地域の高級化による居住者の追い出しにつながりかねないとの批判の声が上がった。

 アマゾン第2本社の建設地に選ばれたのは、ニューヨーク市クイーンズ地区ロングアイランドシティー(Long Island City)とワシントン近郊のバージニア州アーリントン(Arlington)郡クリスタルシティー(Crystal City)。各都市で2万5000人が雇用される予定だという。

 民主党所属のアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)ニューヨーク州知事などは建設決定を喜ぶ一方、ニューヨーク市では手ごろな価格で購入できる住宅がどんどん希少な存在となっており、専門家からはジェントリフィケーション(再開発による地区の高級化)の加速を懸念する声が上がっている。

 また、世界一の大金持ちとされるジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)最高経営責任者(CEO)率いる同社に税制優遇措置が取られることに関しても、疑問が投げ掛けられている。

 同州のマイケル・ギアナリス(Mike Gianaris)上院議員はこの優遇措置について、不透明な部分があると批判するとともに、反対派が措置見直しのため裁判に打って出たり、アマゾンのボイコットを消費者に呼び掛けたりする可能性もあると指摘した。

 周辺地区で理髪店を営むショーン・ディクソン(Shawn Dixon)さん(35)は、賃料の高騰によって中小企業が追い出されることのないよう、市当局やクオモ知事はアマゾンとの契約内容を変更するべきだと訴えた。

 ディクソンさんは「何が起こるか分からないけれど、変更してもらうよう知事にきちんと圧力をかけるために自分たちは今日ここにいる」と語った。(c)AFP