【11月15日 AFP】デンマーク自然史博物館(Natural History Museum of Denmark)などの研究チームは14日、グリーンランドの氷河の下に直径約31キロのクレーターが見つかったと発表した。巨大な鉄隕石(いんせき)の衝突によって1万2000年前までに形成されたとみられ、地球の環境に影響を与えた可能性もあるという。論文は米科学誌サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)に掲載された。

 クレーターは高度なレーダーを用いて、グリーンランドのハイアワサ氷河(Hiawatha Glacie)の下にあるのが発見された。隕石の衝突によるクレーターがグリーンランドで発見されたのは初めてで、氷床の下に衝突クレーターが見つかったのも初。

 このクレーターはパリ全域がすっぽり入る大きさで、これまでに地球上で発見された衝突クレーターの大きさとしては上位25位に入るという。

 クレーター形成時の隕石衝突は地域の環境に大きな影響をもたらしたと考えられ、地球全体の環境に影響を及ぼした可能性もある。

 論文共著者の一人、米カンザス大学(University of Kansas)のジョン・ペーデン(John Paden)協力准教授(電気工学・コンピューター科学)は「おそらく隕石片が大気圏に突入したのだろう。それは気候に影響を及ぼしたはずだし、大量の氷を溶かした可能性もある。その場合、カナダとグリーンランドの間にあるネアズ海峡(Nares Strait)に大量の淡水が突然流入し、地域全体の海流に影響を及ぼした可能性もある」と指摘した。

 その上で「この証拠はグリーンランド氷床(Greenland Ice Sheet)の形成後に隕石の衝突が起きた可能性が高いことを示しているが、研究チームは正確な年代の特定に向けて調査を続けている」と説明した。

 別の共著者、デンマーク自然史博物館のクルト・キアル(Kurt Kjaer)教授は「これまでのところクレーターの形成年代を直接特定することはできていない」としながらも、グリーンランドを覆う氷床が形成され始めた300万年前から最終氷河期の終わりに近い1万2000年前までの間に形成されたことを、状況証拠は強く示唆していると述べている。(c)AFP