【11月14日 AFP】米中央情報局(CIA)が2001年9月11日の米同時多発攻撃後に拘束した国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のメンバーらに対し、水責めなどの拷問以外に自白薬の投与を検討していたことが13日に公開された機密文書により明らかとなった。

 CIAは同時多発攻撃の計画に関与した疑いのあったアルカイダ幹部、アブ・ズベイダ(Abu Zubaydah)容疑者から今後の攻撃計画の情報を聞き出すため、幻覚剤LSDや旧ソ連が1980年代に実験していたとされる自白薬の投与を検討したという。

 投与計画は「プロジェクト・メディケーション(Project Medication)」と名付けられ、CIAの医療関係者らはアモバルビタールなどの鎮静剤や幻覚を誘発する薬物について調べ、特に記憶を喪失させる鎮静剤でバーストという名でも知られたミダゾラムに注目した。

 これらの薬物の投与をCIAの医療局が検討した背景には、苦しい体勢を強いたり眠らせないようにしたりしてもアブ・ズベイダ容疑者が「大変な忍耐力」を示したことにCIAが手を焼いていたことがあった。

 公開された文書によると、アブ・ズベイダ容疑者に対する長期間に及ぶ取り調べの苛酷さに医療局は大変驚き、薬物を用いた「より害がない」とみられる尋問方法を調査するようになった。

 しかし、医療局は薬物を投与した人物が情報を提供するかどうか、長時間の検証が不十分だと判断。ただ一方で、投与によって犯罪を行ったと思い込ませることができる可能性はあると考えた。

 そのようなことからCIAは「『真実』のよりどころとしては信頼性がないと広くみなされているそのような薬物も、強情っ張りな容疑者をより協力的にする『口実』としては役に立つかもしれない」と結論付けたという。

 CIAは1950年代に「MKウルトラ(MKULTRA)」と呼ばれる薬物を使った洗脳実験を行い、その後、受刑者などに対して薬物を投与する実験は禁止された。MKウルトラではある男性が秘密裏にLSDを投与され、その後自殺した。(c)AFP