【11月14日 AFP】米大リーグのシアトル・マリナーズ(Seattle Mariners)で、球団幹部が中南米出身の選手らに人種差別を行っていた疑惑が持ち上がり、米大リーグ機構(MLB)が調査に乗り出している。球団は疑惑を否定している。

 この問題は、10月にマリナーズでの職を解かれた女性スタッフのSNSでの発言によって明らかになったもので、同スタッフはスコット・サーバイス(Scott Servais)監督やジェリー・ディポト(Jerry Dipoto)ゼネラルマネジャー(GM)、アンディ・マッケイ(Andy McKay)強化部長ら複数の球団幹部が人種差別発言を行っていたと非難している。

 これに対してMLB機構は13日、米ウェブサイトのジ・アスレチック(The Athletic)で「シアトル・マリナーズの元職員が、球団職員の振る舞いを告発したことは把握している。警察と連携しながら、この件の調査を行っている」と発表した。

 告発を行ったスタッフは、元ハイパフォーマンス部長のロレーナ・マーティン(Lorena Martin)氏。同氏は12日にツイッター(Twitter)で「マリナーズの組織には問題がある。直接見聞きしてショックを受けている。ジェリー・ディポトGM、スコット・サーバイス監督、アンディ・マッケイ強化部長は、中南米の選手、特にドミニカ出身選手をぐず、ばか、間抜けと呼んでいた」と書き込んでいる。

「そして、なぜプレーオフへ進めなかったのか不思議がっていた。責任は上層部にある。ジェリー・ディポトの下で、チームは一回もプレーオフに進出していないし、彼がGMに居座っている間はずっと無理だろう。お粗末なリーダーシップだ」

「こうして声を上げなくてはならないところまできたのは、正しいことをやろうとした罪のないトレーナーが、肌の色や人種を理由に解雇されているからだ」

 これに対してマリナーズもツイッターにコメントを載せ、「通常、人事に関しては言及しないのがわれわれの方針だが、今回の言語道断かつ誤った主張に対しては、反論を行うことが重要だと考える。また、マーティン氏が職を解かれるまでは何も言わなかった点も指摘しておきたい」と球団を離れた後に話を持ち出した点を問題視した。

「マリナーズの経営陣、またはコーチングスタッフが、選手や職員に対して人種差別的な発言を行ったことは断じてない。加えて、シーズンオフに契約を打ち切られた(または打ち切ると脅された)トレーナーは一人もいない」

 これに対してマーティン氏は「他の差別問題についても、シーズン中から人事部や球団スタッフに報告していた。また、トレーナーは契約延長を提示されずに放出されただけ」と返し、自身が在職中から訴えていたことに加え、形式上では解雇されていないかもしれないが、2人のトレーナーに新契約が提示されなかったと付け加えた。

 今季のマリナーズは、89勝73敗と2004年以降では最高の成績を残したが、2001年以来となるプレーオフ進出はならなかった。(c)AFP