【11月14日 AFP】ドイツで実施されている元ナチス親衛隊(SS)隊員の裁判で13日、強制収容所の看守だった被告による意見陳述が行われた。被告はSSの隊員だったことを恥じているとする一方、収容所での組織的な殺害には気づいていなかったと主張した。

 陳述したのはヨハン・リーボーゲン(Johann Rehbogen)被告(94)。同被告は、現ポーランドのグダニスク(Gdansk、ドイツ語名 ダンツィヒ Danzig)の近く、シュトゥットホーフ(Stutthof)強制収容所での大量殺害に関与した罪に問われている。

 ナチス・ドイツ(Nazi)の犯罪に絡む裁判で被告が陳述するのは久しぶり。同被告は弁護人が代読した書面を通じ、自身は強制されて任務に就いていたと釈明し、ナチス党員だったことは一度もないと主張した。

 被告は「もちろん、SSの一員だったことは恥ずかしく思っている。だが、SSの一員にならない勇気を持ち得たかは今でも分からない」と表明。また、自身はシュトゥットホーフの隊に加わることを強いられたとし、「私が行かなければ家族が報復される」恐れがあったと主張した。

 さらに被告は「被収容者を見たときにSSは間違っていると分かったが、私に他の選択肢はなかった」とした。(c)AFP/David COURBET(c)AFP/David COURBET