【11月13日 AFP】北朝鮮は未公表のミサイル基地を国内少なくとも13か所で稼働させており、核搭載可能な移動式ミサイルを隠しているとする報告書が12日、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)により発表された。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の外交面での代表的な取り組みである北朝鮮政策に新たな疑問の目を向ける内容だ。

 トランプ大統領は、今年6月にシンガポールで実施した金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長との会談について、朝鮮半島(Korean Peninsula)の非核化の道を開いたと称賛。1年足らず前には両国を衝突の瀬戸際に追い込んでいた緊張を緩和させていた。

 北朝鮮はこの会談以降、核およびミサイル実験を停止し、ミサイル実験場1か所を解体したほか、同国の主要な核施設の廃棄も約束していた。

 しかしCSISは報告書で、北側が公表していないミサイル基地13か所を特定したと発表。さらに、こうした基地が20か所存在する可能性もあると指摘した。

 同研究所で北朝鮮問題を統括するビクター・チャ(Victor Cha)氏は、報告書について最初に報じたニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙に対し、「これらの基地が凍結された様子はない」と述べた。

 その上で、「作業は続いている。誰しもが危惧しているのは、トランプ氏がひどい取引に応じるのではないか、つまり北側は実験場1か所のみを差し出し、その他の物を幾つか廃棄しただけで、その見返りに平和協定を得るのではないかということだ」と懸念を表明した。

 CSISによると、これらの基地は国内各地に点在しており、山間部の峡谷に建造された地下施設内に設けられており、移動式ミサイル発射機を即座に地上へと出し、事前に準備された発射場へ動かせるように設計されているという。このうち、非武装地帯(DMZ)の北90~150キロの地域にある基地には、日本や韓国全土を攻撃することが可能な中距離ミサイルが配備されているとみられている。(c)AFP