高齢化した元島民が語る「北方領土」、戻れないかもしれない故郷
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■「あまりにも時間がない」
最近、北方領土問題の解決策を模索する動きが、日ロ両政府の間で加速し始めている。
ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は9月、「前提条件なしに」日ロ平和条約を締結することを示唆した。
北方領土をめぐる日本政府の主張は、北海道の先住民族であるアイヌがかつて住んでいたが、それ以外には歴史的に日本以外のどこにも属したことはなかった、というものだ。
しかし、ロシア政府は、当時のフランクリン・ルーズベルト(Franklin D. Roosevelt)米大統領と、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)との間で1945年に合意に至った、第2次世界大戦の「戦利品」というスタンスを崩さない。
北方領土周辺の海は冬でも凍らないため、ウラジオストク(Vladivostok)に拠点を置く太平洋艦隊の軍艦や潜水艦の太平洋への航路として利用でき、ロシアの戦略上重要な位置を占めている。
北方領土からからわずか数キロしか離れていない根室市の石垣雅敏(Masatoshi Ishigaki)市長は、「あまりにも時間がない」と訴える。
ロシアは1956年、色丹(しこたん)と歯舞(はぼまい)の2島「譲渡(返還)」と引き換えに平和条約を締結することを提案した。しかし、日本側との折り合いがつかず、問題は先送りされた。
だが石垣市長は、根室の人たちには2島案を受け入れる用意があるとし、「2島返ってきても、相当恩恵がある」と話した。