【11月10日 AFP】ドイツ・ブンデスリーガ1部、バイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)のスター選手であるジェローム・ボアテング(Jerome Boateng)は、2014年のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)で母国ドイツの優勝に貢献したにもかかわらず、現在もモンキーチャント(猿の鳴きまね)の標的になるなど人種差別に悩まされている。

 ドイツ・ベルリン生まれでガーナ人の父親を持つ30歳のボアテングは、自身が立ち上げた生活雑誌「ボア(Boa)」で、同国に大量の移民が流入している問題が、状況を一層悪化させていると訴えた。

 兄のケヴィン・プリンス・ボアテング(Kevin Prince Boateng)がガーナ代表としてプレーしている中、ドイツ代表として76キャップを記録しているボアテングは、「サイドラインでウオームアップしているときも、モンキーチャントが聞こえてくる。ドイツのために何度もプレーしている自分に対してだ」「時には『自分の国へ帰れ』とか、『この黒人野郎』と怒鳴られることもある」と明かした。

 幼少期から何度も人種差別に遭い、相手チームの親からののしられて泣かされたこともあるというボアテングは、ドイツの難民問題が人々の警戒心を高め、他人を人種で区別させていると確信している。

 9日にUEFAネーションズリーグ(UEFA Nations League 2018-19)のロシア戦とオランダ戦で代表から外れることが決まったボアテングは、「以前は、ドイツ人と移民に分けられていた」「それが今では、白人でない外国人の親を持つドイツ人というのも加わった。だけどここで育った人々は、自分たちのことを生まれながらのドイツ人だと感じている。それなのに、僕らは疑いの目を向けられているんだ」と話した。(c)AFP