【11月8日 AFP】住宅価格の高騰に直面している米サンフランシスコで、ホームレス対策のため大企業に課税することを定めた法案が有権者による投票で可決された。同法案をめぐっては同市を拠点とするIT企業の間で賛否両論が巻き起こっていた。

 7日に明らかになった投票結果によると、60%の有権者が法案に賛成票を投じた。同法案は「提案C(Proposition C)」と呼ばれ、今年の夏に2万8000人の署名によって提出された。

 支持者らによると、年5000万ドル(約57億円)以上の収益がある企業への課税により、年間2億5000万~3億ドル(約280億~340億円)の税収が見込めるという。税収は5000人分の住宅建設費に充てられるほか、精神疾患対策や家賃補助などにも使われるという。

 この法案にはツイッター(Twitter)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)最高経営責任者(CEO)やモバイル決算企業ストライプ(Stripe)の創業者パトリック・コリソン(Patrick Collison)氏など、複数のIT企業トップが懸念を示していた。

 一方、企業向けクラウド大手セールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)のマーク・ベニオフ(Marc Benioff)CEOはこの法案を支持し、キャンペーンに巨額の資金を提供。ベニオフ氏はシリコンバレー(Silicon Valley)周辺に住む多くの億万長者たちが富を「ため込んでいる」と指摘し、同法案の可決によりホームレスが住宅を手にすることができるだろうと期待をにじませた。

 サンフランシスコではIT産業の急成長により、住宅価格が高騰するなど深刻な住宅問題が発生。地域によっては狭いワンルームの部屋でも月3000ドル(約34万円)にまで家賃が上がっているという。(c)AFP