【11月7日 AFP】昨シーズンのイングランド・プレミアリーグ王者マンチェスター・シティ(Manchester City)が、欧州サッカー連盟(UEFA)の課すファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の規定を回避するため、スポンサー料の「前借り」をしていたと独誌シュピーゲル(Der Spiegel)が報じている。

 欧州各クラブの巨額の負債を減らす目的で導入されたFFPでは、一定期間内の赤字を一定額に収めることが義務づけられているが、シティは2013年、当時のロベルト・マンチーニ(Roberto Mancini)監督を成績不振で解任したことで、赤字が限度額をオーバーする可能性が生じた。

 シティの内部資料を確認したというシュピーゲルによれば、このときシティの最高財務責任者(CFO)であるホルヘ・チュミラス(Jorge Chumillas)氏が「今季のFFPを順守するには990万ポンド(約14億7000万円)のオーバーだ。原因はRM(マンチーニ氏)の契約解除。こうなったら、AD(アブダビ)からのスポンサー収入を増やして差額を埋めるしかないと思う」とメールを送ったところ、別の幹部が「今後2年分の契約を以前から結んでいたことにし、先にお金をもらえばいい」と提案したという。

 そしてチュミラス氏はシーズン終了の10日後、エティハド航空(Etihad Airways)から150万ポンド(約2億2300万円)、アブダビ観光庁(Abu Dhabi Tourism Authority)から550万ポンド(約8億1900万円)、投資ファンドのアーバル・インベストメンツ(Aabar Investments)から50万ポンド(約7400万円)のスポンサー料の増額を取り付けたと発表した。各スポンサーは、この契約がシーズン当初に合意したかのように振る舞うよう依頼されたとみられている。

 スポンサー料の支払い日を変更できるかと尋ねるチュミラス氏に対して、同僚のサイモン・ピアース(Simon Pearce)氏は「もちろん、われわれには、やりたいことはなんだってできる」と答えたという。

 この報道に対して、シティは「意図的に文脈を無視してハッキングした、またはシティ・フットボール・グループ(CFG)とマンチェスター・シティの職員や関係者から盗んだ資料」については一切コメントしないと述べた。

 またシティは、各スポンサーは独立した組織であり、クラブのオーナーである王族の所有ではないと主張している。FFPでは、オーナーが無制限に資金を注入して選手を補強することを禁じており、各クラブはそういったことをしていないと証明する必要がある。

 この件は、前週もあった「フットボール・リークス(Football Leaks)」での告発の続報にあたる。前週は、シティは2014年にFFP違反で6000万ユーロ(約77億3600万円)の罰金を支払った一方、要件を満たせば4000万ユーロ(約51億5700万円)が戻ってくるという取り決めをUEFAと結んでいたことが暴露されていた。

 現在チームを率いるジョゼップ・グアルディオラ(Josep Guardiola)監督は、何も把握していないと強調し、シャフタール・ドネツク(Shakhtar Donetsk)との欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)の試合前の会見で、「私は100パーセント誠実だし、ただの監督だから何も知らない。ピッチとロッカールームのことに集中している」とコメントした。(c)AFP