■プロフィル欄に「共和党支持者アレルギーです」

 人気の出会い系アプリ「ティンダー(Tinder)」の数十人分の登録者サンプルを見ると、多くの女性たちがプロフィル欄に、あなたが共和党支持者の男性ならば左にスワイプしてくださいと書いている。つまり、「パス」してくれという意味だ。

 ケンドールさん(23)もその一人。ティンダーのプロフィル欄には、「ハチと共和党支持者にアレルギーがあります」と書いてある。なぜ共和党支持者の男性を除外するのか。AFPの質問に彼女はこう答えた。「彼らは私の自主性を尊重しない。女性に敬意を払わない。女性にわいせつ行為を働いたことを大っぴらに自慢するような人物に投票したんですよ。そんなの無理」

 共和党支持者のブッチさんも、初デートが「あなたはトランプに投票した?」という最初の質問でつまずくことが非常に多いと話す。イエスと答えると、さまざまな反応が返ってくるが、気持ちのよいものばかりではない。

「時には、なぜトランプに票を入れたのか追及してくる相手もいる。まるで僕が殺人を犯して裁判にかけられているみたいに」

「『うわっ、もっとまともな人かと思ったのに』とか、『いい人そうに見えたのに』と言われることもある」

 同じくトランプ氏に投票したブッチさんの友人の一人は、デート相手から飲み物を顔にかけられたこともあるという。

 交際相手を見つけるのに苦労しているブッチさんは、ワシントンを離れることも視野に入れている。恋愛がうまくいかないことが、転居理由の20%ほどを占めているという。「この街は普通じゃない。飲みに行っても、最高裁や財政赤字に関する話題は避けて通れない」

 米国の二極化はそのままデートシーンにも反映されているとブッチさんは話す。「僕たちがいる社会は、自分と似たようなことを考える相手じゃないとデートもできない社会だ」。それを逃れる唯一の選択肢は、ブッチさんの友人たちが使っている方法しかない。すなわち、自分が誰に投票したか、うそをつくことだ。(c)AFP/Leo MOUREN