【11月6日 AFP】イングランド・プレミアリーグ、レスター・シティ(Leicester City)の守護神カスパー・シュマイケル(Kasper Schmeichel)は、チームオーナーのウィチャイ・シーワタナプラパー(Vichai Srivaddhanaprabha)会長が亡くなった前週のヘリコプター墜落事故を目撃し、その悲劇は脳裏から永遠に離れないだろうと考えている。

 32歳のデンマーク代表GKシュマイケルは、レスターが1-1で引き分けた先月27日のウェストハム(West Ham)戦の後、ウィチャイ会長を乗せて飛び立ったヘリコプターを手を振りながら見送っていた。その直後にヘリコプターが墜落すると、同選手は燃えている機体の残骸に向かって駆け寄ろうとして、警官に制止されたと伝えられた。

 会長以外に搭乗者4人が死亡した事故から初めての試合となった3日のカーディフ・シティ(Cardiff City)戦が終了した後、チームメートやコーチスタッフと共にウィチャイ会長の葬儀に参列したシュマイケルは、「自分はピッチにいて、彼に手を振って見送った」「事故の一部始終を目撃した。残念ながら、あの光景は一生脳裏から離れないだろう。良い記憶ではないが、必要なサポートは受けている」と心痛を告白した。

「クラブは最大限尽くしてくれていて、全員が必要なサポートを受けている」

 同会長がチームを買収した年の2011年にレスターに加入し、おとぎ話となった2016年のリーグ優勝で中心的な役割を果たしたシュマイケルは、3日の試合前に行われたウオームアップで震えていたことを告白。グローブにタイの国旗をつけていたGKは、チームメートやスタッフらと円陣を組み、ウィチャイ会長と他の犠牲者に黙とうをささげた。

 この1週間は心のケアを行うグリーフカウンセリングを受けていたというシュマイケルは、「つらかった」「だけど、会長とご遺族のために黙とうした」とすると、「事故に際してチームは連帯を望んでいた。みんな家族を失ったも同然だからね」と話した。

「(主将の)ウェス(・モーガン<Wes Morgan>)や自分が少し話をした。会長は大勢の人々にとって大きな存在だったから、みんなたくさん話があって、誰もが言葉を挟もうとしていたよ」「彼が全員をここに連れてきてくれたんだ。数々の思い出、彼がつくり出したこのファミリー、彼が吹き込んでくれた文化、そのどれもが彼なしでは存在しなかった」

 事故後初めてのホームゲームとなる今週末のバーンリーFC(Burnley FC)戦で、再び思いがあふれる試合に臨むことになるシュマイケルは、ウィチャイ会長はプレミアリーグのクラブオーナーとしての伝統的なイメージを超越していたと言う。

「買収時のクラブは危機的な状況にあったが、彼のチームづくりは本当に素晴らしかった」「ピッチでパフォーマンスを発揮できるチームやクラブづくりはもちろんだが、彼がつくったファミリーや、彼がチーム全員に吹き込んだ安心感といったものは、それ以上に誇れる」「それが誰であるかや、クラブにおける地位は関係ない。選手、スタッフ、スタジアムの職員、警備員の誰であるかに関係なく、全員が対等で家族の一員なんだ」 (c)AFP