【11月5日 AFP】オーストラリア・シドニーの水族館で、ジェンツーペンギンの雄の「同性カップル」が卵をかえすことに成功し、子育てにいそしみ始めた。シー・ライフ・シドニー水族館(Sea Life Sydney Aquarium)が10月26日、明らかにした。

 スフェン(Sphen)とマジック(Magic)の2羽は代わる代わる、先月19日に体重91グラムで生まれたひなの世話しているという。

 2羽はいつも一緒に歩いたり、泳いだりしていたため、飼育員の関心を引いた。その後、巣を作り始めたため試しにダミーの卵を置いたところ温めだしたことから、本物を置くことにした。

 多くの哺乳類と異なり、ペンギンの雄と雌は抱卵(ほうらん)や子育てで完全に同じ役割を果たし、親としての仕事を半分ずつ受け持つ。同水族館のペンギン部門を統括するティシュ・ハナン(Tish Hannan)さんによると、繁殖行動でペンギンの雄と雌の間に大きな違いはないため、ペンギンの雄同士や雌同士の同性カップルが繁殖行動をするのは珍しくないという。

 野生のペンギンでは同性カップルの間にひなが生まれる見込みはない。ひなが生まれなければ新たなパートナーを探すため、野生ペンギンの同性カップルは長続きしないことが多い。しかし、スフェンとマジックは成功体験を積んだため、来年の繁殖期も再びつがいになる可能性が高いという。

 飼育されているペンギンの同性カップルが卵をふ化させた例は今回が初めてではなく、世界で数例報告されている。

 2009年には独ベルリンの動物園で、雄の同性カップル、ツェー(Z)とフィールプンクト(Vielpunkt)が、実の親が育児放棄した卵をふ化させてひなを育てた例がある。

 映像は、10月撮影。(c)AFP