【11月5日 AFP】トルコ外務省は3日、建国記念の行事に古代ギリシャ風の衣装で参加したとして、駐ウガンダ大使を召還したと明らかにした。トルコはギリシャ・ローマ文明が興亡した地でもあるが、国民の間にはギリシャに対する根強い反感がある。

 召喚されたのは、女性のセデフ・ユブザルプ(Sedef Yavuzalp)駐ウガンダ大使。ウガンダの首都カンパラで10月29日、1923年の同日にムスタファ・ケマル・アタチュルク(Mustafa Kemal Ataturk)がトルコ共和国を宣言したことを記念する年次祝賀イベントを主催した。

 ところがウガンダ議会がツイッター(Twitter)に投稿したイベントの写真には、ユブザルプ氏がギリシャ風のローブをまとっている様子が写っていた。隣に立つ男性のトルコ高官も古代ローマのトーガのような外衣を身に着けていた。

 これに対し、民族主義的な論調で知られるトルコ日刊紙ソズジュ(Sozcu)は3日、ユブザルプ氏がギリシャ神話に登場するヘレネ(Helen of Troy)に、隣の男性がオリーブの冠をかぶって同じくギリシャ神話の神ゼウス(Zeus)に扮(ふん)したとして1面で批判。「共和国宣言記念日(建国記念日)に起きた大変なスキャンダル」だと報じた。

 近代トルコの領域にはギリシャ・ローマ文明の長い歴史が存在するが、トルコの民族主義者らは近代トルコ国家における「トルコ性」を強調する。そのため彼らにとっては、トルコとギリシャの近縁さを感じさせる表現はご法度ということになる。

 トルコ外務省は「ソーシャルメディアや報道機関に大使の写真が掲載されたことを受けて急きょ調査を開始した」と発表。あわせて大使を召還したことも明らかにした。

 報道によると、ユブザルプ氏はイベントで今年の「トロイア年(Year of Troy)」の広報活動をしていたのだという。トロイアの遺跡はトルコ西部の町チャナッカレ(Canakkale)郊外にある。(c)AFP