【11月2日 AFP】昨年5月に急死した人気グランジロック歌手クリス・コーネル(Chris Cornell)さんの遺族が、抗不安薬の過剰処方によってコーネルさんの自殺を誘発したとして、米ビバリーヒルズ(Beverly Hills)の医師を提訴した。

 コーネルさんの妻ビッキー(Vicky Karayiannis Cornell)さんと2人の子どもたちが代理人を通じてロサンゼルス州地裁に起こした訴訟によると、ロバート・コブリン(Robert Koblin)医師は、2015年からコーネルさんが死去した2017年5月まで、抗不安薬ロラゼパム(Lorazepam)計940錠を「無頓着に連続して」処方していたとされる。ロラゼパムには幻覚などの副作用があることが知られている。

 遺族側はコブリン医師がこの間、コーネルさんを診察することなくロラゼパムを継続処方していたと主張。「診察は一度もなく、検査所見もなく、病歴の確認も臨床的評価も一切行っていなかった」うえ、「コブリン医師はコーネル氏と対面したことも、話をしたことすらもなかった」と訴状は述べている。

 遺族側は、処方された抗不安薬がコーネルさんの「認知力を損ない、判断力を曇らせた結果、自分でもコントロールできない危険な衝動に突き動かされ、命を落とすことになった」として、過失、故意の失当行為、インフォームドコンセント(説明と同意)の不履行などで損害賠償を求めている。

 この件に関し、コブリン医師のコメントは得られていない。

 コーネルさんは長く薬物依存とうつ症状に悩まされていた。2017年5月18日、メインバンド「サウンドガーデン(Soundgarden)」の公演を終えた直後、ホテルの自室で首をつった状態で発見された。52歳だった。(c)AFP