【10月31日 AFP】タイ政府が医療用大麻の合法化に本格的に乗り出そうとしている。当局関係者が31日、AFPに明らかにした。タイの大麻は世界有数の質だと大麻容認派から称賛されており、政府は数十億ドル規模の市場への参入を目指す。

 タイ軍事政権の国家立法議会(NLA、暫定議会)にはすでに大麻の限定的使用を認める法案が提出されている。NLAに常設されている公衆衛生委員会の委員長はAFPに対し「議長へ法案を提出した」と述べ、1か月足らずで形式的な立法手続きが進められると説明。ただし、法案が認めている大麻は「医療用に限られ、娯楽用ではない」と強調した。

 医療用大麻の使用は、カナダやオーストラリア、イスラエルなどの国々や、米国の半分以上の州で容認されている。しかしアジアでは、タイが実現すれば初めての国となる。

 麻薬の主要な輸送拠点であり、中毒者の温床ともなっているタイはこれまで麻薬密売を厳しく罰し、大麻も違法としてきた。一方で仏教徒が多数を占めるタイ社会では、大麻の医療使用という考えが広範囲で長らく容認されており、政府当局も麻薬関連法改定の必要性について以前から議論していた。

 米調査会社グランドビューリサーチ(Grand View Research)によると、世界の大麻市場の規模は2025年までに558億ドル(約6兆3100億円)に達すると予測されている。(c)AFP