【10月31日 AFP】インドネシアで乗客乗員189人を乗せたライオン航空(Lion Air)の旅客機が墜落した事故をめぐり、インターネット上でデマやフェイク(偽)ニュースが飛び交っている。フェイスブック(Facebook)では、無関係な赤ちゃんの写真が救出された搭乗者のものとして数千回も共有された。ネット大国のインドネシアでは過去の災害時にも誤った情報が拡散して問題となっており、当局は30日、ソーシャルメディアのユーザーにデマを拡散しないよう改めて警告した。

 ライオン航空JT610便の機体が29日に首都ジャカルタ沖に墜落して以来、インターネット上にはそれに関するフェイクニュースが出回っている。その一つが、フェイスブックに投稿された、旅客機の残骸から救出されたとされる救命胴衣を着た赤ちゃんの写真だ。

 この写真は、投稿後24時間で5000回近くシェアされたが、救助に関する事実に基づかない説明がつけられていた。

 国家災害対策庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ(Sutopo Purwo Nugroho)報道官は30日、ツイッター(Twitter)で「JT610便の墜落で生き延びた赤ちゃんの写真とされるソーシャルメディアへの投稿が多数ある」と指摘。「だが実際は、写真に写っているのは7月3日に沈没した(船)から救助された赤ちゃんだ。つまり、この情報はでっち上げだ。デマを拡散しないで」と注意を促した。

「皆さんへ。犠牲者の写真やデマを拡散しないでください。ばかなまねはやめましょう」(同報道官のツイート)

 当局は捜索活動を続けているが、乗客らの生存は絶望視されている。

 人口2億6000万人のインドネシアは世界屈指のネットユーザー数を誇り、ソーシャルメディアの利用率も世界トップクラス。しかし長年にわたり、災害直後に起きるインターネット上でのデマやフェイクニュースの拡散に悩まされてきた。

 9月下旬にスラウェシ(Sulawesi)島の沿岸都市パル(Palu)が津波に見舞われた後も数日間にわたってデマが拡散し、複数の逮捕者も出た。8月にロンボク(Lombok)島で起きた地震の際にも、やはりデマが蔓延(まんえん)した。(c)AFP