【10月28日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が先週オマーンを訪問したことを受けて、パレスチナ自治政府の当局者は27日、イスラエルとアラブ諸国の「関係正常化」の可能性について懸念を表明した。

 ネタニヤフ首相は25日夜、オマーンのカブース・ビン・サイド(Qaboos bin Said)国王と会談したが、訪問は同首相の帰国まで秘密とされていた。アラブ諸国との関係強化を図っているイスラエルでは、今回の訪問は大きな成功だったとされている。

 パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長の顧問、モハマド・シュタイヤ(Mohammad Shtayyeh)氏は声明の中で2002年にアラブ連盟(Arab League)が採択した和平イニシアチブに言及し、「これは公然たる関係正常化の始まり、そしてアラブの和平イニチアシブの終わりの始まり」だと述べた。

 2002年の和平イニシアチブでは、イスラエルが占領地から「1967年6月4日時点の境界線まで完全撤退」し、さらにパレスチナ国家が樹立して初めて、アラブ連盟に加盟する22か国がイスラエルと関係正常化するとしていた。

 パレスチナ立法評議会のハッサン・フレイシェ(Hassan Khreisheh)副議長は27日、「アラブ諸国はイスラエルとの関係正常化を前例のない迅速さで実現しようとしている」と遺憾の意を示した。

 アラブ諸国のうち、現在イスラエルと正式な外交関係があるのはエジプトとヨルダンの2か国のみ。ネタニヤフ首相は、イスラエルと同様にイランと対立しているアラブ諸国との同盟関係構築を模索してきた。同首相はこのような同盟関係によってパレスチナとの和平が実現可能になると強調している。(c)AFP