【10月27日 AFP】中国北東部・遼寧(Liaoning)省にある畑のど真ん中に、エアバス(Airbus)A320型機の原寸大レプリカが置かれている。同省開原(Kaiyuan)の農家である朱躍(Zhu Yue)さんは、飛行機を飛ばすというかなわぬ夢の代わりに、飛行機を自ら造ることにしたのだ。

 まもなく完成するレプリカは、小麦畑に囲まれた滑走路の断片に半永久的に駐機することになる。

 朱さんは中学校を中退してタマネギとニンニクを栽培する農家となり、その後、工場で溶接の仕事も始めた。だが昨年になって、飛行機を飛ばせる日が来ることはないかもしれないと考えたという。

 朱さんはAFPに対し、「中年に至り、飛行機を買うことはできないが造ることはできると気付いた」と語った。

 朱さんはそこで、260万元(約4200万円)以上の蓄えを投じ、80分の1スケールの模型を作り始めることからプロジェクトをスタート。

 寸法を測ったり、ネットに上がっている写真を研究したり、たくさんの失敗を重ねたりしながらも、朱さんは60トンもの鉄を使って機体や主翼、コックピット、エンジン、尾翼などを造り上げた。

 自家製エアバス機が空へと飛び立つことは当面なさそうなので、朱さんは機体を「食堂機」として利用することに決めた。

「レッドカーペットを敷くので、食べに来た客の誰もが国家元首のような気分を味わえるはずだ」と朱さんはアピールする。

 A320型機では通常、156の客席が用意されているが、朱さんの飛行機内には、「ファーストクラス」の客席が36席設置される。ただこの店で出すメニューについては、ハンバーガーとフライドポテトにするか、または地元の人々が好みそうな定番の中華料理にするかで決めかねているという。(c)AFP