【10月26日 AFP】カナダの医師会が、患者の健康回復を促進する治療の一環として、美術館への訪問を「処方」することになった。世界初の試みだという。

 カナダ・フランコフォニー医師会(MFdC)はモントリオール美術館(MMFA)と提携し、心身にさまざまな健康問題を抱えた患者たちとその家族など同伴者が、無料で美術館に入館して芸術の健康効果を体験できるよう取り計らう。

 1年間の試験プロジェクトに参加した医師は、治療中の患者に最大50回までモントリオール美術館の無料入館券を処方できる。処方箋1枚で、大人2人と子ども2人までの入館が無料になる。

 MFdCのニコル・パロン(Nicole Parent)会長は25日、AFPの取材に対し、既に医師100人がプロジェクトへの参加を表明したと明かした。その上で、科学的に証明された芸術の健康効果に言及し、この参加人数は「患者が希望するなら代替療法にも対応する気配りと寛容さ」が医師らにあるという証しだと述べた。

 芸術が健康に及ぼす好影響は、患者が体を動かすと得られる効果と似ているとされる。「快楽ホルモン」と呼ばれるドーパミンの分泌量も体を動かしたときと同程度で、慢性的な痛みやうつ症状、ストレスや不安などの緩和につながる。

 パロン会長は、カナダ国内の他の美術館でもこうしたプログラムが導入されることを期待していると語った。モントリオール美術館では2016年から、さまざまな病気の患者を対象にしたアートセラピーの専門家養成を行っている。(c)AFP