【10月26日 AFP】トラの現存する亜種は6種類であることを確認したとする研究論文が25日、発表された。世界に残る野生個体数が4000頭足らずの大型ネコ科動物の保護の取り組みを促進するきっかけとなることが期待される研究結果だという。

 米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された論文によると、この六つの亜種はベンガルトラ、シベリア(アムール)トラ、アモイトラ、スマトラトラ、インドシナトラ、マレートラだという。これ以外の三つの亜種、カスピトラ、ジャワトラ、バリトラはすでに絶滅した。

 トラに対する主な脅威としては、生息地の減少や密猟などが挙げられる。

 トラ種を保護し、飼育個体と野生個体の両方の繁殖を促すための最善の方法についてはこれまで、科学者らの間で論争の的となっていた。その理由の一つは、トラの亜種がいくつ存在するかをめぐって意見が対立しているからだ。現存するのは2亜種と主張する科学者らもいれば、5~6亜種存在すると考える科学者らもいる。

 論文を執筆した中国・北京大学(Peking University)の羅述金(Shu-Jin Luo)氏は「トラの亜種数をめぐる意見の一致が得られていないことにより、トラを絶滅の危機から回復させるための国際努力が部分的に妨げられてきた」と指摘した。

 研究チームは、トラが遺伝的に区別できる六つのグループに分類されることを確かめるために、トラ32個体の標本の完全ゲノム(全遺伝情報)を分析した。

 論文によると、トラは200万~300万年前から地球上を歩き回っていたと考えられているが、現生個体群の起源は約11万年前にさかのぼる。「この時期にトラは歴史的なボトルネック効果(生物の個体数の減少に伴い、遺伝子の多様性が失われ、特定の遺伝子が集団内で広まること)を経験した」という。

 異なるトラ個体群の間で繁殖が行われた形跡がほとんどないことが、今回の分析で分かった。この遺伝的多様性の低さは、それぞれの亜種が固有の進化史を持つことを示している。

 またこの点により、大陸全域で亜種間の交雑がより広く行われているジャガーなどの他の大型ネコ科動物とトラは明確に区別される。

 羅氏は「トラは皆似ているわけではない」として、主な違いは体の大きさや毛皮の色などだと指摘した。「ロシアのトラはインドのトラと進化的に異なる。マレーシアとインドネシアのトラでさえも異なっている」

 トラの個体数の減少傾向を逆転させることは「トラ種の遺伝的多様性と進化の独自性およびその将来性を保つために最大限の努力を払うこと」を意味すると、論文は結論づけている。(c)AFP