【10月26日 AFP】来年で106回目を迎えるツール・ド・フランス(2019 Tour de France)のコースが25日に発表され、山岳のスペシャリストに挑戦状を突きつけるがごとく、史上最多となる30カ所の山越えと5つの山頂フィニッシュが含まれた「史上最も高いツール」であることが明らかになった。

 ベルギー出身のレジェンドであるエディ・メルクス(Eddy Merckx)氏に敬意を表し、2019年のツールは来年6月に同国ブリュッセルで幕を開け、3460キロメートルの行程を経て、7月28日に仏パリ中心部のシャンゼリゼ通り(Champs-Elysees)で、初日と同じく平坦コースでゴールを迎える。

 コースはベルギーを抜けた後、フランスの中央高地に入り、ピレネー(Pyrenees)山脈を南下。さらに、終盤の第18~20ステージではアルプス(Alps)3連戦が待ち構えている。

 その他にもツールマレー峠(Col du Tourmalet)をはじめ、ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ(La Planche des Belles Filles)、イゾアール峠(Col d'Izoard)、ガリビエ峠(Col du Galibier)、そしてティーニュ(Montee de Tignes)など、昔からの山岳ファンを失望させない山岳が含まれている。

 大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム(Christian Prudhomme)氏は同日、「来年は大会史上最も高いツールになる」とコメント。また来年は、沿道のファンが総合首位の選手を判別しやすくするための改革案として、1919年にマイヨジョーヌ(イエロージャージー)が正式に導入されてから100周年の節目を迎えることになっており、「マイヨジョーヌに敬意を示す大会」と位置づけた。

「合わせてブリュッセルで『グラン・デパール(開幕日)』を迎えることによって、自転車競技界の最強王者でイエロージャージーを象徴する存在であるエディ・メルクス氏をたたえる素晴らしい大会になる」

 コースの内訳は山岳が計7ステージ、山頂フィニッシュ(中腹でのフィニッシュも含む)が計5ステージとなっており、スプリンター向けの平坦コースも計7ステージの予定となっている。

■最強クライマーだけが勝利を手中に

 来年のツールは山岳ステージが多く含まれることから、長距離のタイムトライアルでライバルからタイムを奪うチャンスは限られる見通しとなっている。タイムトライアルが組まれているのは、ブリュッセルの街中を27キロメートル走行する第2ステージ(チームタイムトライアル)と、起伏が激しいポー(Pau)を27キロメートル周回する第13ステージ(個人タイムトライアル)だけとなっている。

 プリュドム氏は、「この大会では、最強のクライマーでなければ勝つのは不可能だということだ。それと同時に、山岳ポイント地点ではボーナスタイムが与えられることになっており、ライダーたちが重要な局面でアタックを仕掛ける後押しにつながる。これによってステージ優勝に名乗りを上げるだけでなく、意外な選手がイエロージャージーを狙うことにもなる」と述べた。(c)AFP/Damian MCCALL