■高い代償

 環境にやさしい道を取り続けられるかは、ブータンが受け取る外部からの資金提供にかかっている。だがドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が昨年、2015年の「パリ協定」からの脱退を発表して以降、危うい状況だ。

 この協定では、発展途上国の地球温暖化への対応を手助けする資金として、富裕国らが年間1000億ドル(約11兆円)の拠出に同意した。

 ブータンは、氷河の融解から作付け様式の変化や蚊が媒介する病気の拡散まで、気候変動による被害を痛感している。気温は30度にまで上昇し始め、暑さと湿気に慣れてない地元住民を不安にさせている。

 ブータンのテンジン・ワンモ(Tenzin Wangmo)環境局長はAFPの取材に「降雪パターンさえ変化している。以前は数日間は降ったが、今では1日も続かない」と語った。「気候変動はわれわれがコントロールできない。われわれは何もしていないのに、大きな代償を払っている」

 先のドルジ氏は「ブータンが可能な限りカーボンシンクと自然を維持することで国際社会に貢献しているのは、素晴らしいことだと思う」と語る。「われわれの理念は支持を受けるに値する。それと同等の報いも、それ以上とはいわないまでもあるべきだ」 (c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA