【10月24日 AFP】中国の広東(Guangdong)省珠海(Zhuhai)と香港、マカオを結ぶ世界最長の海上橋「港珠澳大橋(HZMB)」で24日、一般車両の通行が始まった。政治的動機に基づいた無用の長物とやゆされてもきた港珠澳大橋を通る初めての旅を、興奮した旅行者らが楽しんだ。

 香港のバスターミナルに集まった住民や観光客には、バス会社から中国の菓子やあぶった肉がふるまわれた。マカオ行きのバス第2便の乗客となったアンジー・チェンさん(58)は「試してみて、便利かどうかを確かめたかった。景色も確認したい。何と言ってもこれは歴史的な土木事業だから」と語った。

 港珠澳大橋は曲がりくねった道路橋や海底トンネルを含め全長55キロに及び、香港のランタオ(Lantau)島から珠江デルタ(Pearl River Estuary)を横断し、本土南部の珠海(Zhuhai)市やマカオを結ぶ。

 工学の勝利とたたえる声が上がる一方、政治的動機に基づいて建設された金食い虫といった批判や、香港併合を視野に入れた中国政府の企ての一つだといった非難の声も上がっている。

 実際に香港住民に対してこれまでに発行された自家用車用の通行許可証はわずか1万枚。中央政府の役職者か、中国南部の広東省に大きく貢献しているといった厳しい基準を満たさなければ許可証は得られず、ほとんどの香港市民が橋を渡るにはバスを利用する必要がある。(c)AFP/Elaine YU