【10月24日 AFP】妊娠中の特定の週に起きる女性の体の著しい変化が、その後の人生における乳がん発症リスクを大幅に下げるとする研究結果が23日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)電子版に発表された。

 30歳未満の女性が出産することで、その後の人生における乳がん発症リスクが減少することは、これまでの研究で明らかにされてきた。しかし、デンマークとノルウェーの研究チームが行った今回の研究では、妊娠期間中の特定週に、乳がん発症リスクに変化が起きていることを突き止めたという。

 この研究論文の主執筆者でデンマークのコペンハーゲン大学(University of Copenhagen)臨床医学部のマス・メルビュー(Mads Melbye)氏は、「妊娠33週で出産した場合、それは素晴らしいことだが、残りの人生における乳がん発症リスク減少というボーナスは得られない」、「リスクの面で非常に明確な変化が起きるのは、妊娠33週から34週にかけてだからだ」と指摘した。

 通常の妊娠期間は40週とされ、37週未満で出生した赤ちゃんは早産児とみなされる。

 メルビュー氏率いるチームは、約40年前からのデータベースに記録されたデンマークとノルウェーの女性約400万人について調査した。妊娠34週以降に出産した女性は、出産経験のない女性と比べて乳がん発症リスクが平均13.6%低いことを突き止めた。妊娠33週で出産した女性の場合、同リスクの減少幅は2.4%にとどまるという。

 この妊娠期間中の極めて重要な週に、女性の体にどんな変化が起きているかはいまだ謎に包まれている。

 出産と乳がん発症リスク減少の関係については医学研究者の間で広く知られており、初産の時、授乳の準備として乳腺細胞が根本的に変化すると考えられてきた。

 しかし、メルビュー氏らは34週以上の2回目、3回目の妊娠によって、乳がん発症リスクがさらに下がることを突き止めた。この現象は妊娠34週以降の死産でも起きるため、授乳は乳がん発症リスクの減少と無関係とみられる。

 ただしメルビュー氏によると、乳がん発症リスクの減少効果は29歳未満の女性が出産した場合にしかみられないという。(c)AFP/Patrick GALEY