【10月24日 AFP】欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会(European Commission)は23日、EUの財政規律に違反しているとして、イタリア政府が提出した2019年の予算案を拒否し、修正を求めた。欧州委員会が加盟国に予算案を差し戻すのは初めて。

 欧州委員会のバルディス・ドムブロフスキス(Valdis Dombrovskis)副委員長は記者会見で、イタリア政府は事前の公約を「公然と、故意に」無視したと批判。EUの規則に沿って歳出を抑制した新たな予算案を、3週間以内に提出するよう要求した。

 ドムブロフスキス氏は「欧州は協力の上に築かれている」とし、「信頼が損なわれれば、すべての加盟国が損害を受ける。われわれの連帯が損害を受けるということだ」と述べた。

 同席したピエール・モスコビシ(Pierre Moscovici)欧州委員(経済金融問題担当)は「ボールがラインに届いていない。かけ離れている」と指摘。イタリア政府が再提出の要求に従わなければ、処分が下されることもあり得ると警告した。処分が実施される場合、イタリアには2017年の国内総生産(GDP)の0.2%に相当する34億ユーロ(約4380億円)の罰金が科される可能性がある。

 イタリアのポピュリスト政権は、2019年の財政赤字目標をGDP比2.4%とすることを譲らない姿勢を示している。これは前政権による見通しの3倍に相当し、EUが定めた上限の3.0%に近づく水準だ。

 イタリアはすでにGDP比で130%に達する巨額の累積債務を抱えているが、目標の通りなら、これがさらに増大することになる。EUが定める加盟国の累積債務上限は同60%で、イタリアの水準はこれを大きく上回り、ギリシャに次いで欧州で2番目に高い。(c)AFP/Clément ZAMPA