【10月23日 AFP】米カリフォルニア州サンフランシスコの裁判所は22日、同州の学校で校庭の管理をしていた男性が末期がんになったのは、農薬大手モンサント(Monsanto)が自社の除草剤の発がん性について警告を怠ったからだとする今年8月の陪審評決を維持した。しかしモンサントが支払うべき損害賠償金は減額した。

 同州ベニシア(Benicia)の学校で校庭を管理するグラウンドキーパーとして働いていた原告のドウェイン・ジョンソン(Dewayne Johnson)さんは2014年、白血球が関与するがんの非ホジキンリンパ腫と診断された。ジョンソンさんは、モンサントの除草剤「ラウンドアップ(Roundup)」の業務用製品「レンジャープロ(RangerPro)」を繰り返し使用していたという。

 8月に出された評決は陪審員の全員一致で、モンサントの行動には「悪意があり」、ラウンドアップとレンジャープロがジョンソンさんの末期がんの「実質的」な原因だったと結論付け、モンサントに対し、懲罰的損害賠償金2億5000万ドル(約280億円)に補償的損害賠償金やその他の費用を合わせた総額約2億9000万ドル(約320億円)をジョンソンさんに支払うよう命じていた。

 評決が出た後、モンサントは懲罰的損害賠償金2億5000万ドルの全額の取り消しを求め、新たな裁判をすべきだと申し立てていた。

 スザンヌ・ボラニョス(Suzanne Bolanos)判事は22日、モンサントの申し立てを退けた一方で、懲罰的賠償金の算出方法を取り決めた法律に従って賠償金の総額を7800万ドル(約87億円)に減額し、ジョンソンさん側に減額を受け入れるか、賠償金額を決めるための新たな訴訟を起こすかのいずれかを選ぶよう命じた。

 ジョンソンさん側の弁護団は、「賠償金の減額は不当だと考えており、どちらの選択肢を選ぶか検討しているところだが、裁判所が陪審評決を維持したのはわれわれにとって大きな勝利だ」とする声明を出した。

 モンサントの親会社、ドイツ製薬大手バイエル(Bayer)はAFPの取材に対し、賠償金の減額には一定の評価をしたものの、陪審評決の内容は不当だとして上訴する姿勢を示した。(c)AFP/Glenn CHAPMAN