【10月23日 AFP】(更新・写真追加)中国の広東省珠海(Zhuhai)と香港、マカオを結ぶ世界最長の海上橋「港珠澳大橋(HZMB)」の開通式が23日、珠海で行われた。習近平(Xi Jinping)国家主席らが出席した。

 橋は2009年に着工。曲がりくねった道路橋や海底トンネルを含め全長55キロに及ぶ。香港のランタオ(Lantau)島から珠江デルタ(Pearl River Estuary)を横断し、本土南部の珠海(Zhuhai)市やマカオを結ぶ。車両の通行は24日から。

 開通式で、香港行政トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)長官は、港珠澳大橋を「壮大な橋」と称賛し、習氏に式典への出席に対する謝意を述べた。

 習主席はスクリーンに映し出された花火の画像を背景に「港珠澳大橋の正式な開通」を宣言したが、出席者に向けた演説は行わず、足早に会場を立ち去った。 

■「香港併合」への動きとの見方も

 中国政府は「大湾区」と呼ばれる巨大ベイエリア構想を推し進めている。先月23日には中国本土と香港を結ぶ高速鉄道「広深港高速鉄道(Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link)」が開通しており、港珠澳大橋の開通は同構想の第2弾となる。

 一方で、橋の建設をめぐっては、工事の遅れや予算超過、複数の汚職事件、建設作業員の死亡などが相次ぎ、建設をめぐる不透明性をめぐって批判の声も上がっていた。

 また、香港では自由主義が侵害されていくとの懸念が高まる中、専門家らは大金を投じた港珠澳大橋の開通を、香港併合を視野に入れた道筋の一つとみている。

 香港住民の場合、中央政府の役職者であるか、中国南部の広東(Guangdong)省に多額の寄付をしているなどの厳しい基準を満たさなければ、自家用車で港珠澳大橋を渡って珠海市に向かうことはできない。このため、ほとんどの香港市民はバスを利用して橋を渡ることになる。(c)AFP/Leo RAMIREZ, with Elaine Yu in Hong Kong