【10月23日 AFP】サッカー豪Aリーグのセントラルコースト・マリナーズ(Central Coast Mariners FC)は23日、元陸上男子短距離選手のウサイン・ボルト(Usain Bolt)氏との間で行われている金銭面に関する交渉が停滞していると明かし、たとえプロ契約を結んだとしても同氏がリーグ戦で出場することはないだろうと警告を発した。

 五輪で通算8個の金メダルを獲得したボルト氏は、プロサッカー選手になるという夢をかなえるため、今年8月からマリナーズのトライアルに参加している。32歳になるボルト氏の挑戦は世界中から注目を集めており、先週行われたプレシーズンマッチで2得点を挙げると、その関心はさらに高まった。

 マリナーズは、潤沢な資金力を誇るマルタ王者のバレッタFC(Valletta FC)から提示された2年間のプロ契約を拒否したボルト氏にオファーを出したと認めたが、サッカー選手としての同氏の今後に関しては「現在も交渉中」と補足した。

 マリナーズはボルト氏に対するオファーの金額を補填(ほてん)するため、外部のスポンサーを探しているところだと認めており、「第三者の経済的な協力がなければ、ボルト氏とクラブが条件に合意する可能性は低い」と話している。

 豪紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は今週、ボルト氏の代理人は当初300万豪ドル(約2億4000万円)を求めていたが、マリナーズが提示した額は15万豪ドル(約1200万円)程度だったと伝えている。

 マリナーズはこの金額について議論しており、「選手とクラブにとって適切な手段があれば、両者は今後も協力し続け、正式な合意を交わすだろう」とコメントした。

 プレシーズンマッチで2得点を決めたにもかかわらず、解説者の中にはサッカー選手としてのボルト氏を批判する人もいる。

 マリナーズは、男子100メートルの世界記録を持つボルト氏にはサッカー選手としての可能性があるかもしれないが、もしチームに残る選択をしても、同氏にはレギュラー選手になるための力が足りないと示唆している。

「このチームでトライアルを受けている間、ウサインは大きな成長を遂げた。より激しい個人練習を行い、実際の試合でプレーする時間をもっと得られれば、さらに成長するだろうと思っている」「このチームにはAリーグでそうする余裕がないため、あらゆる方法を検討しているところだ」

 マリナーズはまた、27日に行われるメルボルン・シティ(Melbourne City)とのホームゲームを前に選手の気が散らないようにするため、ボルト氏の今後に関する交渉が続く間、同氏は練習に参加しないと明かした。

 昨年に陸上界から退いたボルト氏は、これまでにドイツや南アフリカ、ノルウェーのクラブでトライアウトを行っている。(c)AFP