【10月23日 AFP】イタリア・ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)は、ありふれた目の障害である「外斜視」があったために立体物の表現力や山岳風景画での遠近感に優れていた可能性があるとする研究論文が今月、米国医師会(AMA)発行の医学誌「JAMA眼科学(JAMA Ophthalmology)」に発表された。

 論文では、ダビンチ自身がモデルとなったと考えられている彫刻2点、油絵2点、素描2点を調査したところ「-10.3度の一貫した外斜視角」が示されたとしている。

 外斜視は目の片方が外側を向いている状態を指し、片目が逆に内側を向いている場合は内斜視となる。10.3度のずれは中程度の症状に当たる。

 斜視の人は両目ではなく片方の目でものを見ていることが多い。これは両目が別々に使われていることを意味し、これにより視野や奥行知覚が増加する。

 論文によると「斜視、特に間欠性斜視の存在は、空間を平面なキャンバス上に捉えるというダビンチの卓越した能力に貢献した可能性がある」という。また、ダビンチの斜視は、特に「世の中に存在する顔や物体の立体性や、山岳風景で遠方にあるくぼみ部分の描写」に役立った可能性があるとしている。

 研究を行った英シティ大学ロンドン(City University London)のクリストファー・タイラー(Christopher Tyler)教授は「レンブラント(Rembrandt)やピカソ(Pablo Picasso)ら、偉大な芸術家には斜視だったとされる人が何人かいるが、ダビンチもそうだったようだ」と語った。(c)AFP