【10月22日 AFP】(更新)オーストラリアの教会や学校などで長年にわたって児童への性的虐待が行われていた問題で、スコット・モリソン(Scott Morrison)首相は22日、政府が何十年もの間「邪悪な犯罪」を止められなかったことを認め、被害者らに対して公式に謝罪した。

 モリソン首相は議会で行った演説の中で、「これはオーストラリア人がオーストラリア人に対して行ったことだ。私たちの中にいる敵の仕業だ」と指摘。「私たちは見捨て、見逃してしまった。これは、これからもわれわれの恥であり続けるだろう」と声をしぼり出した。

「見捨ててしまった子どもたちに、われわれはきょう謝罪します。信頼を裏切られ、引き裂かれたものを元に戻そうと苦労を重ねた保護者の方々に謝罪します。政府に警告したにもかかわらず、聞き入れられなかった人々に謝罪します」

 熱のこもった首相の演説は豪全土に向けてテレビで中継された。

 オーストラリアでの児童性的虐待をめぐっては王立委員会が5年かけて調査を実施し、数千に上る教育機関や宗教施設での計1万5000人以上に対する児童性的虐待について詳細を明らかにしていた。

 これを受け、不祥事が明るみに出た組織が次々と謝罪に追い込まれており、オーストラリアのカトリック教会の指導部は児童性的虐待とその隠蔽(いんぺい)について、教会の「恥ずべき」歴史であると悔恨の念を示した。

 王立委員会によると、1950年から2010年までの間に豪国内のカトリック司祭の7%が虐待をした疑いがあるものの、ほとんど捜査などは行われていなかった。また、被害を受けた児童は見過ごされ、中には罰を受けた子すらいたという。

 長年の調査などにより、複数の聖職者が児童性的虐待と関わりがあったとして起訴されている。(c)AFP