【10月22日 AFP】台湾北東部の宜蘭(Yilan)県で21日に起きた特急列車事故で、救助隊は22日未明まで捜索・救助活動を続けた。事故原因はまだ分かっていない。乗客の一人はメディアの取材に、列車は横転する前に急加速しようとし、車体が激しく揺れていたと証言した。

 事故は21日午後4時50分(日本時間同日午後5時50分)ごろに発生。8両編成の全車両が脱線し、うち5両が横転した。これまでに少なくとも18人が死亡、168人が負傷している。

 救助隊は夜を徹して、クレーン車で脱線した車両を一つずつ持ち上げ、閉じ込められた乗客がいないか捜索を行った。横転して大破した車両からは22日未明も複数の遺体が運び出されていた。当局は、中にまだ生存者がいるのかどうかについては確認していない。

 事故当時、現場付近の工事現場にいた作業員の男性(62)はAFPの取材に「大きな衝撃音が聞こえた」と述べた。現場に駆け付けると、地元の住民たちが横転した列車から乗客が脱出するのを手伝っていたという。

 また、ある乗客は「安全ガラスを割って窓の外にはい出て、それから若い男性を引っ張って外に出した。私の後ろには女性が座っていたが、生き延びたかどうかは分からない」と記者団に語った。

 別の乗客は地元紙の蘋果日報(Apple Daily)に、列車が走行中に「緊急ブレーキ」を2回かけていたこと、また電気の供給が途切れかかっていたことなどを説明している。

 一方、香港の公共放送RTHKは乗客の話として、横転する前に列車はスピードを上げようとしていて、車体が激しく揺れていたと伝えた。事故当時、乗客の中には寝ていた人もいたという。

 台湾の国防部(国防省)は救助作業を支援するため兵士120人を現地に派遣したと発表。蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は21日夜、ツイッター(Twitter)に「大きな悲劇」だと投稿。犠牲者と遺族に哀悼の意を表した。(c)AFP/Amber WANG, Sean CHANG