【10月21日 AFP】メキシコ当局は20日、中米ホンジュラスから米国を目指して北上している数千人の移民の集団、通称「キャラバン」のうち、数十人の女性と子どもの入国を認めた。ただ、残りの数千人はグアテマラとの国境の橋で治安部隊に前進を阻まれ、身動きが取れない状態が続いている。

 移民らはソーシャルメディアを介して約2000人のキャラバンを組織し、1週間前にホンジュラス北部サンペドロスラ(San Pedro Sula)を出発した。メキシコのルイス・マヌエル・ロペス(Luis Manuel Lopez)駐グアテマラ大使がAFPに語ったところによると、女性と子どもは入国管理当局が手続きを行った上で、国境から40キロ離れたタパチュラ(Tapachula)市内の保護施設に収容するという。

 こうした中、国境の橋の上で待たされ疲弊した約900人の移民が、にわか作りのいかだで橋の下を流れるスチアテ川(Suchiate River)を横断したとメキシコ当局が明らかにした。ぬかるんだメキシコ側の河川堤防を登る移民らに警察は介入しなかった。こうした移民の多くは人で埋め尽くされた橋の上で24時間以上足止めされ、暑さと空腹で絶望感を募らせていた。

 一方、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はネバダ州エルコ(Elko)で開かれた選挙集会の演説で反移民の姿勢を改めて打ち出し、「民主党はキャラバンを求め、キャラバンを歓迎している。『誰があのキャラバンを始めたのか?』と言う人は多い」と述べて、キャラバンが政治的動機に基づいて組織された可能性があると示唆し、その前進を食い止めたメキシコに謝意を表明した。

 トランプ氏は先週、当局がキャラバンを阻止しなかった場合には関係国への援助を停止し、軍を動員してメキシコ国境を封鎖する可能性を警告していた。(c)AFP/Jennifer GONZALEZ COVARRUBIAS / Henry MORALES ARANA in Tecun Uman, Guatemala