【10月19日 AFP】中国と東南アジア諸国の海軍が来週、史上初となる合同軍事演習を実施する。関係者らが19日、発表した。南シナ海(South China Sea)をめぐる緊張緩和の狙いがある一方で、米国の警戒を招く恐れもある。

 中国の南シナ海進出は以前から、同じく領有権を主張する東南アジア諸国、さらにはこれまで同域に最大規模の海軍力を誇示してきた米国との対立の火種となってきた。

 中国の領土拡大の野心をめぐるあつれきは残るとはいえ、緊張が急激に高まり制御不能に陥るのを防ぐため、中国と東南アジア諸国はより融和的なトーンを打ち出そうとしている。

 その一環で、10か国が加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の海軍は、初めての合同軍事演習を南シナ海で実施することを決めた。

 シンガポールで開かれ、ジェームズ・マティス(James Mattis)米国防長官や中国国防相も出席したASEAN国防相会議の場でシンガポールのウン・エンヘン(Ng Eng Hen)国防相は、中国との演習実施の発表に際し、「信頼構築」の一助になるはずだと期待を示した。

■米海軍とも来年合同演習へ

 その一方で、この合同演習の裏には、米国の同盟各国やパートナーと緊密な関係を築くことにより、同域における米国の影響力低下を目指そうという中国の思惑があるという見方もある。

 こうした懸念払拭(ふっしょく)のためか、ウン国防相は米海軍との合同軍事演習も来年初めて実施すると発表した。

 マティス米国防長官も、「わが国の利益に反するものとは見ていない」と強調し、今回の合同演習が戦略上重要な同域における米国の影響力低下にはつながらないという認識を示した。

 その上で、「この種の活動を行えるとしたら、透明性があるということだ。それこそ南シナ海に欠如してきたものであり、正しい方向に働くことになる」と述べた。(c)AFP/Martin Abbugao