【10月19日 AFP】コソボ議会は18日、災害対応などを主な任務とするコソボ治安部隊(KSF)を正規軍に改編するための3法案を可決した。独立宣言から10年を経て初めて、国軍の創設に向けた第一歩を踏み出したことになるが、国内のセルビア系住民と隣国セルビアは「平和への脅威」だとして強く反発している。

 1998~99年、独立を求めるアルバニア系住民の武装組織と旧ユーゴスラビアのセルビア人部隊が戦ったコソボ紛争の後、コソボの治安維持は北大西洋条約機構(NATO)を主力とする国際治安部隊(KFOR)が担ってきた。現在もKFORの兵士4000人以上が国内各地に展開している。

 コソボの独立は既に世界110か国以上が承認しているが、セルビアはいまだ自国南部の州だと主張して独立を認めていない。

 2008年に一方的にセルビアからの独立を宣言したコソボでは、これまでも政府が国軍創設を試みてきたが、国内少数派のセルビア系住民・議員に決定的な影響力を持つセルビアの反対でとん挫していた。

 今回の3法案可決には、国軍創設に必要な憲法改正の手続きを回避する目的がある。憲法改正にはアルバニア系議員だけでなくセルビア系議員も含む議会の3分の2の賛成が必要となり、過去の試みは全てセルビア系議員によって阻止されてきたためだ。

 こうした動きについて、セルビアのアレクサンダル・ブリン(Aleksandar Vulin)国防相は首都ベオグラードで、コソボの国軍創設は「セルビアとセルビア人を脅かす」目的」の「平和への脅威」になるだろうと述べた。

 またNATOも、憲法改正を通じたKSFの正規軍への改編を望むと明確に表明している。(c)AFP